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サロンオーナー’sコラム #285
“引越しの退去=姿勢のイベント”
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さて、今週は3日間だけですが、お付き合いください。
私ごとですが、つい最近引越しをしました。
2年間住んだ賃貸を出て、別の賃貸へ。
退去が近づくと、多くの人はこう考えます。
「いかに費用を抑えるか」
見積りを比較し、相場を検索し、管理会社に交渉。
もちろん当たり前に大事なことです。
ただ、そんな当たり前の中でも私が今回あらためて学んだのは、退去は“お金のイベント”ではなく、“姿勢のイベント”だったということです。
例えば、こんな“退去あるある”があります。
・冷蔵庫の後ろから、ほこりと小物が多く出てきて驚く。
・子どもがつけた壁の落書きや床の傷を見て、ヤバッと胸が痛む。
・エアコンのフィルターや水回りのカビを見て、「もっと普段からやっとけば…」と後悔する。
住んでいる間には数字としては見えないことが、最後に一気に可視化される。
これはまさに事業と同じです。
私は子どもがつけた傷も含めて、逃げずに向き合いました。
嘘はつかない、至らなかった部分は受け止める。
そのうえで、不当な高額請求には立ち向かう。
ここでいう「闘う」とは、相場や法律を知って備えるということです。喧嘩腰ではなく、知識で自身を守るという意味です。
同時に、私は「節約」と「ケチ」を混同しないと決めました。
節約は目的に沿って資源を最適化すること。
ケチは目的を見失い、心を痩せさせること。
退去費用を1円でも安くすることが目的なら、それはケチです。
でも「感謝を持って返したいから、納得できるお金は払う」と決めるのは節約です。
私は迷わず後者を選びました。
退去は、つくづく仕事と似ています。
美容室なら、仕上げの最後の一言で印象が変わる。
建設業なら、工事後の清掃や近隣への挨拶で信頼が残る。
飲食店なら、お客様を送り出す「ありがとうございました」の一言が次の来店につながる。
最後の数分間の所作に、すべての信頼と品位が宿るのです。
私自身、大手人材会社のパーソル時代にも似た経験があります。
退職月、多くの人が心はすでに次の仕事に向かい、数字も未達のまま終える中で、私はあえて“最後の月の営業ノルマ達成”にこだわりました。
そして退職日。
ギリギリでノルマを達成し、残業をして、みんなが帰った後に一人で机を片付け、最後まで働ききってから静かに会社を出ました。
その姿を見ていた上司が、のちに私の独立後、最初に一緒にビジネスをするパートナーとなったのです。
「終わり方」へのこだわりが、未来の縁を連れてきた瞬間でした。
当時その上司がまだパーソルにいた頃に言われた言葉を皆さまに送ります。
『村島、終わり方にこだわれ。始まり方よりも終わり方を大切に仕事をしろ』
今回の退去を通じて改めて感じたのは、
「誰も見ていない所作こそが、最終的に信頼をつくる」 ということです。
掃除や修繕は立ち合いで誰も気づかないかもしれません。
でも、それをやった“自分自身”は知っています。
その誠実さは、必ずどこかで信用として返ってきます。
信用が先にあるから誠実に動けるのか、
誠実に動くから信用が積み上がるのか。
まるで鶏と卵のような問いですが、
私は“誠実さが先”だと思います。
「誰も見ていない時に、どれだけ誠実に動けるか」その積み重ねが、信用のスタート地点になるのだと思います。
退去はただの手続きに見えて、実は自分の生き方や働き方を映す場面でもありました。
少し大げさな言い回しですが…
仕事の「終わり方」には、その人の姿勢がよく表れます。
あなたは誰も見ていないところでも、誠実に動けていますか?
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サロンオーナー’sコラム #286
責任を逃げずに背負う
お金は心を守るために使う
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今回の退去を通じて、あらためて深く感じたことがあります。
それは「責任」と「お金の使い方」に、その人の姿勢のすべてが表れるということです。
壁や床の傷の多くは私の子どもがつけたものでした。
でも、私は親として逃げませんでした。
「これは自分の責任です」と言えることが、結局は最強の信用になるからです。
事業でもまったく同じです。
トラブルやミスが起きたときに「自分は関係ない」と言ってしまうのは簡単です。
けれど、それを繰り返す人に信頼は積み上がりません。
信用は、“背中で引き受ける姿勢”からしか生まれない。
この事実を、退去という場面を通じて、私はあらためて突きつけられました。
もう一つ大切なのは「お金の扱い方」です。
退去のとき、業者に丸投げすれば割高、管理会社に任せればさらに高くつく。
それでも私は「感謝を込めて返したいから、自分で納得できる形で払う」と決めました。
具体例には、暮らしのマーケットというサイトで職人さんに修繕をお願いしました。
これは節約であっても、ケチではありません。
昨日も言いましたが、ここを混同してはいけません。
【節約とは、目的に沿って資源を最適化すること】
【ケチとは、目的を見失い、心を痩せさせること】
退去費用を“1円でも安く”にこだわりすぎて、
・管理会社やオーナーと無駄に揉める
・「どう払わないか」ばかり考える
・小さな修繕すら渋って逃げる
こうなった瞬間、それはもう「節約」ではなく「ケチ」です。
節約は未来を守りますが、ケチは信頼を削ります。
一方で
「感謝を込めて返したいから、適切で必要なお金はきちんと払う」
と決めることは、節約であり、誠実さの証です。
もちろん、だからといって「自分に責任のない部分まで多く払う」ことが誠実さではありません。誠実さとは、過剰な自己犠牲ではなく、責任の範囲をきちんと見極めたうえで支払う姿勢だと思います。
これは事業にもそのまま当てはまります。
お金を「損得」でしか考えられない人は、やがて心が小さくなり、人もチャンスも離れていきます。
逆に、お金を「心を守るため」に使える人には、信頼と縁が巡り続きます。
請求を避けて逃げるより、誠実に支払い、責任を果たすほうが、未来の縁は必ず残るのです。自分に非がない部分までむやみに支払う必要はありませんが大切なのは、責任を見極めたうえで、感謝と納得を持ってお金を使うことです。
私はこの経験を通して、強くそう思いました。
あなたはどうでしょうか。
不測のトラブルに「逃げずに背負う」覚悟を持てていますか?
支払いを「損得」だけでなく「心を守る基準」で決められていますか?
結局、退去を通じて学んだのは、この二つの姿勢です。
逃げずに責任を背負うこと、そしてお金を誠実に扱うこと。
そのどちらもが、未来に信頼を残すシンプルな真実でした。
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サロンオーナー’sコラム #287
誠実は最強の交渉術
“退去”が教えてくれた人生の座右の銘
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3日目、最後に私が伝えたいのは、退去で学んだ「誠実さ」の力です。
立ち合い当日、よく見ないとわからない傷、子どもがつけた傷も、すべて自己申告しました。
普通なら「気づかれなければいい」と黙ってしまう人も多いでしょう。
でも私は正直に伝えました。結果どうなったか。
管理会社の担当者は「正直にありがとうございます。それくらいは大丈夫です」と言って、わずか10分で立ち合いは終了しました。
むしろ感謝の言葉をもらい、気持ちよく終えることができました。
なぜスムーズだったのかを改めて振り返ると、
やはり「誠実に準備し、正直に向き合った」からだと思います。
実は、退去前の3日間、家族総出で大掃除をしました。
床も、窓も、トイレも、お風呂も、水回りも、エアコンのフィルターも、ベランダも全てピカピカに。
「次の人がすぐにでも住めるように」と磨き上げました。
この姿勢こそが、最後に伝わる誠意であり、最強の交渉術だったのです。
……と、私は勝手に思っております。笑
でも、これは事業でもまったく同じじゃないでしょうか?
価格交渉、納期調整、追加要望。交渉の場面は日常にあふれています。
そのとき「誠実さ」を前提に話すと、相手は安心します。
「この人は逃げない」「ごまかさない」と伝われば、話は一気に早くなります。
値下げのテクニックよりも、言葉巧みな営業トークよりも、結局は“誠実さ”が最強の交渉術になります。
退去の立ち合いで、私はそれを体験しました。
そして今回、退去を通じて自分の中に一つの座右の銘が残りました。
それは…
「理不尽は拒み、責任は果たす。
稼ぐ力で心を豊かに、感謝と誇りを持って生きる。」
これは単なる住まいの話ではありません。
契約をどう終えるか、人とのご縁をどう返すか、そして自分がどう生きるか。
そのすべてに通じる言葉です。
誰も見ていない所作が信頼をつくり、
逃げずに背負う姿勢が信用を呼び、
誠実に交渉することで未来の縁が広がる。
退去を通じて私は学びました。
「終わり方こそ、次の始まりを決める」ということを。
だからこそ胸を張って言います。
「この家に感謝。思い出は守った。ピカピカに磨き上げて返した。さあ、次へ」
終わり方に誠実さを込めた人だけが、次の始まりを清々しく迎えられるのだと思います。
それは住まいでも、仕事でも、人との縁でも変わらないのだと私は思います。