#152 📈物価高と価格設定📉
さて、今日から3日間は
【個人事業主の物価高と価格設定】
についてのお話です。
ちなみに、本日のレポートの題材にもなっております。
今日は一般的なお話しを。
明日は価格設定の成功事例を。
明後日は価格設定のヒントを。
3日間に分けてお話しします。
ーーーーーーーーーーーーーーー
個人事業主にとって、昨今の物価高は大きな課題です。完全なる死活問題でもあります。
個人事業主は、自分自身が商品やサービスの提供者であるため、価格設定は自由です、が非常に重要な課題です。
価格を低く設定しすぎると、経費をカバーできなくなり、利益が減ってしまいます。
逆に高く設定しすぎると、競合他社に価格競争で負けたり、顧客の需要が減少してしまう可能性があります。
そのため、値上げも値下げも含めて適切な価格設定が必要です。
まずは、原材料や人件費などのコスト(経費)を正確に把握することが大切です。当たり前のように聞こえますが、実はこれが出来ていない個人事業主はたくさんいます。
家賃や税金など大きなお金の流れは把握していても、それ以外の光熱費や消耗品など細かなコストを把握していません。
チリも積もれば、、、です。
しっかりとトータルコストを把握することで、適切な価格設定を行うことができます。
他に、競合他社の価格を調査することも大切です。競合他社の価格を調査することで、自社の商品やサービスが同業者の中ではどの程度なのかがわかります。
お店であれば近隣の情報をネット媒体などで調べてみてください。
また、価格だけではなく、他社の価値を上回る付加価値を提供することが出来れば、それも価格設定に直結します。
自社の商品やサービスに独自性があれば、それを強みとしてアピールすることで、より高い価格設定が可能になります。
他に、顧客ニーズに合わせた商品やサービスの提供が必要です。と言われても中々これはわかりません。難しい問題です。それならば、ズバリお客様に聞いてみましょう。お客様とのコミュニケーションを大切にしましょう。
サービス内容や価格についてもお客様からのフィードバックを受け取り、それを改善に繋げることで、より顧客満足度を向上させることができます。顧客満足度が向上することで、リピート率が上がり、自然な形で売上を伸ばすことができます。
最後に、個人事業主は常に環境の変化に敏感であることが重要です。
商売の基本でもありますが、経済や社会の状況が変化するたびに、自社のビジネスモデルや価格設定を見直し、適切な対応策をその都度打つことが必要です。その上での現状維持なのであれば、それはそれでOKです。
何も考えない現状維持はあまり良くありません。
毎日!とまでは言わなくても毎月、1年に数回、など常に自分の事業に対して客観的な目でチェックを入れましょう!
明日に続きます。
#153 💰値上げしても成功⁉️
さて、今日は具体例を。
◉QBハウス
2019年2月から通常料金を1080円から1200円に値上げしました。
それでも、顧客は大きく離れず、売上げを大幅に増やすことに成功します。
①値上げしてもそもそも安い。
値上げしても普通の美容室よりは安いので、安さという付加価値は大きく下がりませんでした。
②他の格安ヘアカットよりも、好立地な場所にお店がありました。
③スタッフのカットスキルが値段に見合って担保されていると思われていました。
◉某たい焼き屋さん
150円のたい焼きを180円に値上げしました。
こちらも値上げから3ヶ月で売上げを増やします。
①小細工なしで、基本は「ごめんなさい!」で、理由を伝えて顧客に正直に頭を下げる。
②値上げの理由を誠意と正確性をもって告知し、価格の正当性を顧客に理解してもらう。
◉某飲食店
こちらも全メニューを数%値上げします。
初めは売上げは下がりましたが、結果的には売上げは増えました。
①売上げ後20%の顧客は離れると準備していた。
②80%の顧客を残す努力を最大限して、20%の新規顧客獲得を頑張った。
❶QBハウスからわかることは、自社サービスの価値をきちんと理解している点です。
お客様は100円の物を買う時には100円かそれ以上の”価値”を感じるから買うわけです。
これだけ値上げラッシュ、不景気と言われる世の中で、どうして生活費を節約して韓流アイドルにたくさんお金を注ぎ込む人がいるのでしょう?
それは、その人にとって大きな価値があるからです。
自分のサービス(物)の価値をより明確にすれば値上げは怖くありません。値上げをしても競合にも勝てます。
❷たい焼き屋さんからわかることは、きちんとお客様とコミュニケーションを取っているということです。一切のご細工無しに、しっかりとお客様に値上げの理由を伝えれば、今までしっかりと価値のあるサービスを提供していたのなら、お客様は一定数残ってくれます。商売相手は『人』です。当然好き嫌いもありますから、やはり誠意が大切です。
❸飲食店
こちらの店主は私の知り合いです。
彼はとても論理的に、ちみつに計算する経営者です。
値上げすると、約20%〜30%の人は離れてしまう。
しかし、残った約70%〜80%の人の売上げが値上げされるわけだから客単価は上がる。そこで値上げ前に比べても同じくらいの売上げが見込める分、値上げ額をしっかり計算する。
後は、離れていってしまった20%〜30%分の新規顧客の獲得を既存顧客からの紹介含めて頑張る。離れていった人は何も悪くないが、値上げしても残ってくれたお客様は、本当に自分の料理を美味しいと食べてくれる人たちだから、より自信にも繋がった。
成功の要素全てがこの3つの事例に含まれるわけではありませんが、3つほど本当にあった成功事例を挙げてみました。
値上げとは本当に怖いものです。
出来ればしたくありません。
しかし、値上げが事業にとって必要な要素であることは間違いありません。
今回は値上げだけの話でしたが、値下げも同じように事業には必要な要素です。
続きは明日、価格設定についてのまとめです!
★おまけ★
『値上げは悪ですか?正義ですか?』
当然消費者目線だと悪です。
しかし、私たち事業主からすると一概に悪ではありません。
ここでひとつ動画をご紹介します。
https://youtu.be/xpltiHWtvXA
2016年にガリガリくんが60円から70円に25年ぶりに値上げした時のCMです。
この値上げは消費者である私たちには悪でしょうか?
会長や社長までもが出演して、これまで頑張ってきたけれど、致し方なく値上げをさせてください。
と頭を下げています。
そう言われたら、70円になってもガリガリくんを買おうとついつい思ってしまいますよね。
このように、消費者目線になったとしても正義と思わせる方法を考えてみましょう。
#154 ✨プレミアム✨を作ろう
この3日間のコラムが、皆さまの価格設定のヒントになれば良いと思っています。
まず結論から入ります。
【商品の値段よりも、商品が提供する価値が大きい】
これであれば、人は物やサービスを購入するわけです。価格と価値は表裏一体なわけです。1日目にお話ししたように、無駄なコストを無くせば利益が増える、もありますが、それよりもやはり重要なのは
『お客様が感じる価値を上げる』
ということです。
値上げを考えるとどうしても
「お客様が離れる」
「値上げは良く思われない」
と考えてしまいますが、それは価格しか見ていないからです。
価格と同時に、価値にも着目してみましょう。お客様から喜んでお金を払ってくれます。
🚨ちなみに、今の物価高や仕入れ値の高騰による値上げは有効的で有りですが、ここでは話しません。
砂漠の真ん中での水の話は有名です。500mlのペットボトルが1,000円でも売れます。
他には、3,000万円するフェラーリ、300万するロレックス、なぜ売れるのでしょうか?
その価格よりも、持つことによって生まれる自尊心や社会的影響という価値が価格を上回っているからです。(ただ好きな人もいます)
つまり、
“値上げをしても売れる=価値を高める”
というわけです。
◆外国産のお肉を300円で仕入れて、1,000円でステーキ売っていた。これを国産のお肉を500円で仕入れて、1,500円で売る。
利益は700円→1,000円になります。元のメニューは置いていても問題はありません。
お客様は国産の価値を得ます。
◆1回1万円のカット
そこに原価が1,000円のトリートメントを付けて13,000円で売る。
トリートメント出なくても、シャンプーや美容用品でも良いです。
お客様は特別な価値を得ます。
◆クーリングオフ機能を付けて10%値上げ。
ネットで買い物をする昨今。買った後にサイズが合わない、色が気に入らない、などに対応するためオプションでクーリングオフ制度をつけて、+10%の値上げする。
お客様は安心の価値を得ます。
これら全て今のサービスに+αして値上げをしています。内容量やサービスをダウングレードして実質値上げをするより、アップグレードした商品を値上げする方がお客様への価値は大きいです。
世の中に
✨プレミアム✨
が増えているのはこれが理由です。
ちなみに、ディズニーやUSJの並ばなくても乗り物に乗れる券や、新幹線のグリーン車もこれに当てはまります。
ちなみに余談ですが、ルイヴィトンが偽物に対して大きく対処しないのは、それでより本物の価値が見出され、その方が売上げが上がるから、なんて一説もあります。
やはり大切なのは価値です。
値上げは当然、
お客様の減少が大いにあり得ます。
お客様を無視した伝え方や、時期を間違えると失敗します。
地域や競合の価格から大きく逸脱すると売れません。
日用品や、ある程度価格が固定している物の値上げは危険です。
まずはそれらデメリットも理解しましょう。
そして、しっかり考えて、お客様からの意見も取り入れながら、勇気を持って値上げをしてみてください。
なぜグリーン車が売れるのか?
なぜファーストクラスが売れるのか?
なぜハイブランドが売れるのか?
そこにはそこにしかない、購入者の大きな価値があるからです。
もしかしたら、値上げが新たなお客様を連れて来て、顧客層がガラッと変わる良い副作用もあるかもしれません。
お客様が喜ぶならば、確実に
値上げ=正義です。
そんな考えを個人事業主も持つことが出来れば、値上げは怖くありません。
“価格と価値”
この価値を考えるのも、届けるのもあなたです。まずはそこから事業計画を練ってみてください。
値上げは悪ではありません。
#155 💁競合調査してますか⁉️
価格設定の際に、競合他社についてお話ししましたが、この競合他社について深掘って話します。
競合分析は、何も大企業や法人だけのものではありません。
ネット社会である今は、個人事業主にとっても重要なビジネス戦略の一つです。
競合分析を行うことで、
◉自社の強みや弱み
◉市場のトレンド
◉顧客のニーズや要望
が見えてきます。
それに合わせて戦略的な事業計画や判断を行うと効果的です。
◉自社の強みや弱み
やはり、自分が何者なのか?をきちんと理解しておくことが大切です。自分を知らなければ市場や競合は見えてきません。
自分を知った上で自社と似たような商品やサービスを提供している競合を探し、競合がどのような価値を提供し、自分とは何が違うのかを調べます。自社の強みや弱みと他社を比較するわけです。
そこでわかった弱みを補強したり、強みをより強化します。
◉市場のトレンド
自分がいる市場のトレンドとは、文字通り流行りはもちろん、価格設定や法律なども当てはまります。
その他にはマーケティング手法や営業方法なども見えてきます。
これは値上げのチャンスや、業務の効率化にも大きく繋がります。
◉顧客のニーズや要望
あなたの顧客層は法人なのか?個人なのか?住まい、性別、老若男女、ここをまずは明確にしなければなりません。
『売りたい人がいる場所で、買いたい人に売る』
これが商売の基本です。
そして、この競合分析は新たなビジネスチャンスを生み出すこともあります。
競合の弱い部分を狙ってあえて商売をしたり、新たな顧客やニーズに気付くこともあります。
また、競合分析で競合がした失敗事例を学ぶことが出来れば、自分はそれを回避できます。リスクヘッジにもなるわけです。
競合分析にはこれだけのメリットがあります。
確かに手間や時間はかかりますが、得られるリターンは事業にとっては一生物にもなり得ます。
また、競合分析は市場から学ぶだけと思う人もいますがそれだけではありません。市場にいる競合と、その顧客を理解することで、自分の今の立ち位置ややるべきことが見えてきます。
流行の変わり目、半年に1回、1年に1回、など個人事業主こそやるべきマストの業務です。
最後に質問です。
今急速に店舗拡大している
“ウエルシア薬局”
の競合はどこかわかりますか?
明日お話しします。
#156 🙆♂️競合を見極めろ‼
昨日の答えです。
答えは、同じドラッグストア。
マツモトキヨシ、スギ薬局、ツルハドラッグ。
ではありません。
ウエルシア薬局の競合はコンビニです。
『次のライバルはコンビニ』
ウエルシアHDが20年トップだったマツキヨの売上高を抜いて業界NO.1になった時に、カンブリア宮殿でウエルシアの池野隆光会長が言った言葉です。
彼らは近くの競合や、元々の競合であるドラッグストアを調査し、付加価値として処方せんの受付ができるドラッグストアを作ります。当時は調剤併設型のドラッグストアはとても少なくこれが当たります。
次に競合になったのが薬局です。
そこでも付加価値を、ということでウエルシアはあえて病院の前には出店せず、郊外の住宅地に調剤併設型の店を増やしていきました。
高齢化社会に向けて、家の近くでいつも同じ薬剤師が対応してくれる、それが安心だと考えたそうです。そして、毎年地方で多くの薬剤師を採用しているそうです。
また、地域性を調査して都会には出来立てのお弁当や、コーヒーマシンを用意し、公共料金の支払いにも対応したりとコンビニ化を、
郊外には生鮮野菜や肉も置いてあり、食材もある程度揃うというスーパー化を、目指してるそうです。
確かに既にコンビニやスーパーより安い食べ物や飲み物がたくさんあります。
競合調査から地域性や顧客属性を見極めて、事業の展開の形を変えているというわけです。
昨日も言いましたが、競合調査は何も自分と他人を比べるだけの行為ではありません。
他社との差別化、新たなビジネスチャンス、人材の採用、地域、顧客属性、本当に多くのことに気付かせてくれます。
市場においての自分の立ち位置や、強みや何をするべきなのかもはっきりと見えてきます。
本当に幅広くビジネスを活性化させてくれるわけです。
ウエルシアの強さは秘密は
『差別化をもって戦わずして勝つ』だそうです。
これは「孫氏の兵法」を基にしたウエルシアの社訓でもあります。
商品やサービスを差別化すれば、他社と競わなくても勝てるという意味です。
競合に勝つために競合調査をするのに、それが結果的に競合と競わなくても勝ててしまうという本質的な素晴らしいお話です。
これを機に一度皆さんも競合調査をしてみてください。
やり方やプロセスはネットに調べればたくさんありますし、自分の足を使って見てください。